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連載コラム 並木麻輝子のお菓子な歳時記
第4回 フェスタ・ジュニーナ ~ブラジルの6月は祭りの季節~

南半球に位置するブラジルの冬は5~7月。つまり現在は冬まっただ中。
そして日に日に冬らしさが増してくるこの時期、ブラジル人が心待ちにしているイベントが「フェスタ・ジュニーナ」。
その名もポルトガル語で「6月祭り」を意味する。
国外での認知度は低いけれど、ブラジル国民にとっては夏(2月)のカーニバルと並ぶ冬の風物詩だ。
このお祭り、ひと言で言うと、収穫と冬至、そしてキリスト教の3聖人の祝日を一気に祝ってしまうというもの。
しかも6月いっぱい、ほぼ毎週あちこちでイベントが開催されている。

起源は北半球にあり

別名「フェスタ・デ・サン・ジョアン(聖ヨハネの祭り)」とも呼ばれる通り、もともとはキリスト教の聖人ヨハネを祝う祭事から発展。現在はブラジルの伝統行事として定着しているが、その起源は遠く離れた北半球にあるとされている。
一説には、キリスト教が定着する以前から、エジプト人、ギリシア人、バビロニア人など、北半球の民族が、夏至を迎えるにあたり、6月に豊穣祈願の祭りを開いたことに由来するそう。
そこにキリスト教徒が自分たちの祭りを重ね、ブラジルにはポルトガル人の入植によってもたらされたという。
一方、ブラジルの先住民たちの間でも、6月に冬至や収穫を祝う習慣があったため、ポルトガル人が伝えた祭りと融合。
さらに、前述の聖ヨハネの日(6月24日)に加え、聖アントニオの日(6月13日)と聖ペドロの日(6月29日)も併せて祝うというブラジルの国民的行事に発展した。
そんなわけで、6月のブラジルはずっとお祭り気分に包まれている。

収穫の恵みから生まれたスイーツ

興味深いのはこの祭りの楽しみ方。
収穫感謝祭の意味合いが強く、田舎の暮らしを祝福する祭りでもあるため、参加する人々はカイピーラ(田舎者)の格好をする。
男性はチェックのシャツにネッカチーフ、つぎはぎだらけの上着や穴のあいたジーンズ、頭には必ず麦わら帽子、そして眉毛をつなげ、顔に髭やもみ上げを描く。
女性は花柄やチェック柄のワンピースにエプロン、髪の毛は三つ編み、紅いチークをさしてりんごほっぺにし、鼻の上や頬にそばかすをプラス。
みんなで焚き火を囲み、フォークダンスを踊るというぐあい。
そしてフェスタ・ジュニーナに欠かせないのが、この時期に収穫されるトウモロコシ。
なかでも押さえておきたい一品が「パモーニャ」。トウモロコシ粉に水などを加えて練ってから、トウモロコシの葉に包んで茹でたもので、塩味、甘味の両方がある。シンプルながら、トウモロコシの香りとむっちりとした食感が後を引くブラジルの国民食だ。
もう一つ忘れてならないのが「カンジッカ」。白いトウモロコシを粒のままミルクや砂糖、スパイスと共に煮たモチモチとしたスイーツで、このお祭りを代表するデザートと言われている。
他にピーナッツ粉を固めたほろほろっとしたお菓子「パソッカ」や、砂糖やコンデンスミルク、バターを合わせたキャラメルにピーナッツを合わせて固めた「ペ・ジ・モレッキ」など、ピーナッツを使ったお菓子もフェスタ・ジュニーナの定番。ちなみに「ペ・ジ・モレッキ」は「いたずらっ子の足」という意味だそう。
ブラジルの農村文化が垣間見られるフェスタ・ジュニーナ。
カーニバルと並び、こんな素朴なお祭りがあることもぜひインプットしてほしい。

並木麻輝子(なみきまきこ)
料理ジャーナリスト ヨーロッパ郷土料理・菓子・食文化研究家
パリの料理学校ル・コルドン・ブルーの製菓・料理上級課程終了。ヨーロッパ各地の料理・菓子を舌で確認しながら自ら取材した経験を生かし、書籍、雑誌、ガイドブック等を執筆する傍、コメンテーター、大学の生涯学習クラスやカルチャースクール講師、テレビ、ラジオ番組制作コーディネーター、レストラン等のアドバイザー、講演など食関係のあらゆる分野で活躍中。

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