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連載コラム 並木麻輝子のお菓子な歳時記
第6回 世界のサマースイーツ(アジア編)

前回のヨーロッパ編に続き、世界の夏スイーツ第二弾。今回は台湾を中心に、アジアンサマースイーツの中から、代表的かつ個性的な品々をご紹介しよう。

雪花冰

知れば知るほど奥深い、台湾かき氷の世界

アジア編のスタートは、日本人にもファンが多い台湾のかき氷から。
ちなみに台湾で出会うかき氷は、大きく二つに別れる。一つは薄氷が幾重にも重なったような「雪花冰」(シュエホァビン)。一般的に他国から見た台湾かき氷の代名詞的存在で、ふんわり軽い口どけと、最初から味のついた氷を使う点が特徴だ。その氷を専用の機械でひらひらとドレープ状に削り出し、上からソースをかけて、メニューによりトッピングもプラス。ベースの氷は、定番のミルク風味を筆頭に、マンゴーやイチゴ、コーヒー風味などのバリエーションを揃える店も。
もう一つは、日本と同様、プレーンな氷を削ったシャリシャリかき氷「剉冰」(ツォービン)。こちらの特徴は、多彩なトッピングがのっている点。お店のメニューからオススメの組み合わせを選んでもいいし、フルーツやナッツ、豆、芋など、店先にずらりと並ぶ具材の中から、個々にカスタマイズすることも可能だ。
「剉冰」の中でも、ちょっと豪華なのが八寶冰(バーバオビン)。「八寶」=「八つの宝」だが、「八宝菜」と同様、ここでいう「八」は「たくさんの」という意味。具材は、小豆、金時豆、緑豆、花豆、白豆、ピーナッツといった豆類を中心に、タロイモ、はと麦、仙草、タピオカ、湯圓(白玉団子)、芋圓(里芋団子)など、計8種前後を贅沢に盛り合わせる。
数あるトッピングの中でもとくにユニークなのが「米苔目」(ミータイムー)。これ、米粉から作られた麺で、パッと見は「短めのうどん」。麺料理として茹でたり、炒めたり、塩味のスープに入れたりしているけれど、同時にかき氷のトッピングに使うなど、スイーツの素材としても活躍。シャリッとした剉冰とツルツル麺の食感が意外にも好相性。気になる人は、ぜひ米苔目の専門店にてお試しを。
もう一つ忘れてならないのが、台湾のクールデザートの代表格「マンゴーかき氷」。雪花冰、刨冰、どちらのタイプも、削りたてにマンゴーソースをかけ、甘く軟らかなフレッシュマンゴーをたっぷりのせて提供。旬の時期にしか味わえない台湾夏の風物詩だ。
かき氷ではないけれど、アイスとピーナッツのクレープ巻き「花生捲冰淇淋」(ファーシェンジュワンビンチーリン)もぜひ試してほしいものの一つ。丸く焼いた薄い生地にアイスクリームをのせて、上から飴で固めたピーナッツをカンナでたっぷりと削りかけ、パクチーを散らして巻き込んだもので、ピーナッツの香ばしさとコク、ミルキーなアイス、パクチーの相乗効果が見事。パクチーが苦手でなければ、ハマること請け合いだ。

ロールアイス

技ありのパフォーマンスが楽しいタイのロールアイス

ロールアイスは、文字通りアイスクリームをくるくると巻いたクールデザート。現在は東南アジアの国々や、ニューヨーク、日本にもお店があるけれど、もともとはタイの屋台発祥。製法は、すぐに材料が固まってしまうほどキンキンに冷えた鉄板の上に、アイスのベースとなる液体を流し、マンゴーやクッキーなどの具を加えてステンレスのヘラでテンポよく混ぜる。これを薄く広げ、固まらないうちに手前から向こうへクルクルと巻いていく。手際の良さに目が釘付け。一度に5~6本できるので、いずれも渦巻き部分を上に向け、カップに立てて盛り付けるのがお約束だ。
また、街中の屋台やフードコートなど、タイのあちこちで見かけるのが「アイスクリームガティ」。名産のココナッツで作ったアイスクリームで、コクがありつつ後口はさっぱり。さらに、これをパンに挟んだ「アイスクリーム・カノムパン」も、タイでは昔からある食べ方として定着している。

マレーシアのかき氷は、氷が溶けても問題なし

マレーシアでは具入りのかき氷のことを「ABC」という。「Ais Batu Campur」の略で、「アイスバトゥ」は「氷」、「チャンプルー」は「ごちゃ混ぜ」の意。具入りと言っても、日本のように1~2種ではなく、10種ぐらいがごっそり入り、さらに赤だの緑だの、カラフルなソースや果実のピューレがたっぷりとかかっている。名前通り「ごちゃ混ぜ」だが、不思議とバランスよく美味。暑い国なので、あっという間に溶けて具だくさんの甘いスープみたいになるけれど、むしろ溶けてからが本番というか、氷で冷えた具を楽しむ感覚。削り立ての氷と具をビニール袋に入れて、テイクアウトする人もいる。具の組み合わせはお店によってさまざまだが、トウモロコシはマストアイテム。粒コーンの甘みとプチッと弾ける食感がかき氷と絶好の相性なのだそう。ちなみにアイスクリームやアイスキャンディでもコーン風味がおなじみで、さらにコーン餡入り饅頭、ういろうなどなど、トウモロコシはスイーツの素材として活躍。
「ABC」の中で最も名高い一品が「アイスカチャン」。カチャンは「豆」のことで、ようは豆入りかき氷だが、これがまた驚くほど具だくさんで、小豆をはじめ、数種の豆の甘煮やピーナッツ、コーン、仙草ゼリーなどのゼリー類も入る。これと人気を二分するのが、ニョロッとした緑の物体がのった「チェンドル」。チェンドルは甘い香りを持つ「パンダンリーフ」のエキスと米粉を合わせ、麺のように形作ったゼリーで、とくに味は無いが、ツルツルとした食感が印象的だ。氷にチェンドルと小豆をのせ、あとはココナッツミルク、グラマッカ(椰子砂糖を溶かした黒蜜シロップ)をかけてシンプルにいただくことが多い。ちなみにチェンドルは「ABC」や「アイスカチャン」のトッピングのとしても使われる。

2回にわたってお届けした世界のサマーデザート(ヨーロッパ編、アジア編)。夏場にこれらの国を訪れたら、ぜひとも試してほしい。

並木麻輝子(なみきまきこ)
料理ジャーナリスト ヨーロッパ郷土料理・菓子・食文化研究家
パリの料理学校ル・コルドン・ブルーの製菓・料理上級課程終了。ヨーロッパ各地の料理・菓子を舌で確認しながら自ら取材した経験を生かし、書籍、雑誌、ガイドブック等を執筆する傍、コメンテーター、大学の生涯学習クラスやカルチャースクール講師、テレビ、ラジオ番組制作コーディネーター、レストラン等のアドバイザー、講演など食関係のあらゆる分野で活躍中。

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